2007年11月21日

07.11.21のBOOK ON;神楽坂 ホン書き旅館

飯田橋佳作座には何度も通ったのに、
神楽坂を登った事はないように思う。

思うに、ゆとりのない青春だったのかも、
知れない。

この本を読んで「拝啓、父上様」の放映が
はじまる前に、偶然、約束の仕事前、
時間つぶしにこの坂を歩いた事を思い出した。

四通八達と言うわけではないが、
道は入り組んで、迷路ではないが
突然現れる公園に驚き、行き止まりに戸惑い。

ああ、あの道を右に曲がっていれば、
この本の舞台の「和可菜」にたどりついたのに、
と嘆息し、しかし縁なき事も縁と受け入れる。

昔、映画が栄華であった時代が、あった。
そこに人物がいて、人物が支えた。
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2007年11月14日

07.11.14のBOOK ON:らも

「らも」を買った。

社内報のクイズに当たり、
図書カード2,000円が入ったので、
遠慮なく買った。

いつもはbuta-muchiに
渡すのだけれど、今回は秘密。

昨日買って、その日の帰りの電車で
読み終わって、続けて今日の行きの電車で
再読。珍しい。

陳腐な表現だが、壮絶な夫婦愛、
ラブストーリーとは思うものの、
アナーキー(でエピキュリアン)なのは、
奥様だと思う。

「心の中に大きな虚無が巣くっていたらもは、
 不安と、怒りと絶望の塊だった」

それが、何だったのか、
2度読んでもわからなかった。

わかったのは、らもが生年こそ違うものの、
ELMと同じ学年だった、という事だった。
ほぼ1年違う。


あっ、その「塊」は、生への虚無で怒りで
不安で絶望、か?
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2007年10月17日

07.10.17のBOOK ON:らくごDE枝雀

この前の日曜日、水道橋の日大経済学部本館へ
「U種メンタルヘルス・マネジメント検定」を
受けに行ってきました。

合否はまあ、68点か70点という感じですが、
緊張感があり面白かったです。

20代から60代とおぼしき男女が1教室
200人近くが集まっていて、何の試験か
一瞬考えてしまいました。


それはさておき、
最近作った資料は森永卓郎のビジネスコラム:
「安楽」と「快楽」からはじまるビジネスチャンスを
ネタ元にしていますが、そのさらにネタ元が、
この「らくごDE枝雀」なのです。


話は転々宇宙間(わかる人はわかる)で、
終了後、渋谷へ行き新しく出来た競合店を見に行き、
日比谷公園の「第14回鉄道フェスティバル」に
buta-muchiを(歳をとりましたね、話が長い)探しに行き、
さらにその足で全体会議のある品川の現場を下見に行き、
ふと見上げれば「くまざわ書店」があり、
入って見たら地元にも勤務先近所の本屋にもなかった
この本があったのです。



枝雀、天才だと思います。

楽をしようと思って、
人がしないような努力をしてしまうのは、
天才の営為です。


難しい方に向かって突進してしまう
人は「天才」だとY氏がELMを評して言った事が
ありますが、何、単に阿呆なだけです。


あっ、その後地元のDOCOMOに、
最近不調のワンセグ携帯のバッテリーを
交換しに行ったら、新品不良という事で、
無料交換でした。

小人(しょうじん)ELMとしては、
閑居して不善をなす暇が欲しいです。


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2007年08月09日

07.08.09のBOOK ON:日本国民に告ぐ

何を読もうかとためらい、
これは読んでなかったはずと
手にとってしばらく。

あれっと思い、読書録を確認したら、
1月に読んでいましたね。

ソビエトの日本に対する32年コミンテルンの呪縛やら、
アメリカの日本に対する占領政策の桎梏やら、
覚えていました。

小室直樹は、ELMが信頼するひとりです。
再読するのも何かの予兆、啓示と思い
カバンに入れました。

今回は、違うところに惹かれます。

丁度、上司から指示されて2ヵ月ほっといて、
と言うか、前回は工具を作っていたのに、
今回はある道具を作りながら考えていた事の
「解」のヒントがありました。


「店長の聖書」を作れ、と言うのが
上司の指示でした。

もちろん「店長の聖書」と言うのは、
この場限りのデタラメで、本当は違う
タイトル、です。


フェテシズムというのは、
手段と目的の倒錯で、先の大戦で
ある議員が軍部に「この戦争の目的は何だ?」
と聞いたところ、回答は「目的はない」でした。


伝統主義とは、過去に正しかった事は
今も正しい、という信仰に過ぎません。

文中、信仰という言葉は使っていません。


どうも最近、まとまりの悪いブログだと
感じていましたが、今、訳がわかりました。

隣人AとBに話し、さらに社内で通じるように
するための試行錯誤、思考索語の時間だったのです。


わかりやすい?紹介をします。

明治期の法律も教育も、
国民のためのものではありませんでした。

不平等条約を解消し、独立国として西欧に
対峙するには、欧米列強が認めるような
独立国、資本主義国家に成長する必要が
ありました。

そのための明治憲法、義務教育、
富国強兵だったのです。


変な話。
司馬遼太郎は情緒的過ぎる、
と思ってしまいました。
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2007年08月08日

07.08.08のBOOK ON:「兵士」になれなかった三島由紀夫

そう、三島由紀夫が命を賭すのは、
既定だった。

死ぬ前から、ELMはそう思っていた。


だから、午後に登校したFが事変を、
そう事件というより心に残る事変、
を伝えても、驚きは覚えなかった。

まだ若かったから、
表向き、冷たくやり過ごした。

それが、今頃、迫ってくる。


それより以前、写真集の一葉を見て、
傀儡(くぐつ)と直観的に思った事を
思い出す。


本身を構え? 立て膝でポーズを取り
迫ってくる上半身のオーラに比べ、
下半身が如何にも貧弱に見えた。

その事を思い出す。


二・二六事件の中隊長が、
三島の懸垂写真を見て著者に送ってきた
「(下半身が)本物じゃあ、ない」の言葉が強く残る。

もしかしたら、三島を理解する年齢に
近づいて来たのかも知れない。


書いて良いものか?

当時、三島は股間に雑巾を入れている、
という風評があった。

この作り話をした奴の品性が嫌だった。
この作り話を信じさせる部分のある三島が、
嫌だった。


兵士にはなれなかったが、
武士(もののふ)として
兵士たちを魅了した三島を知り、
安堵しているELMが、ここにいる。

でも、三島はアーミー、ではなかった。


2007年8月8日、水曜日。21時10分。了。
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2007年08月01日

07.08.01のBOOK ON:橋本忍「複眼の映像」

黒澤明作品の共同脚本の秘密が明かされる。

特に決定稿は、三人なら三人のライターが
同一!シーンをヨーイ、ドン!で書きはじめ、
その中から取捨選択すると知り、ただ驚く。

分担ではないのだ。

取材原稿を元にまとめるアンカーでもなく、
下訳を元に仕上げる翻訳家でもなく、
下書きを元に決定稿を作る作家でもなく。

「複眼の映像」と題する訳がわかる作品。

海外の映画祭で一番質問されるのが
「生きる」のシナリオに関して、
と言うのが面白い。
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2007年07月26日

07.07.26のBOOK ON:佐藤優「自壊する帝国」

ELMのブログは、内容紹介をする
ブログでは、ありません。

(一言書けば、ソ連崩壊の人物論的顛末です)

何を感じたかを書くブログですし、
これを読んだ人が読んでみたいと
思ってもらいたいブログです。

佐藤優を好ましく思うのは、
人物を表すのに身長や体重、
体型を必ず記す事です。

食事の内容や酒の種類、
飲み方に触れるのも、
ELM好みです。

建物の位置関係、移動のための道具、手段、
所要時間、エクステリア、インテリアを
描写する姿勢にも、インテリジェンスを感じます。


登場する人物の多彩さ、
錯綜する事実関係を捌く手付き。

イアン・フレミングに似ている?

あまりにも面白すぎて、
ソ連版「2039年の真実」か?
何て事まで邪推してしまいます。

実は「人見知り」だと言う自画像が面白い。



ELMは、勉強しなかった哲学生ですが、
学究せんとする神学生の強靱さ、柔軟さは、
瞠目するに値します。

しばらくは眼を離せません。

「日米開戦の真実」は、
今、読んでいるところ、です。

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2007年07月21日

07.07.21のBOOK ON:佐藤優の「帝国の崩壊」

読み終わってまた読みはじめる。
滅多にない事を、している。

あの、キツネ目の宮崎学が、
鋭い質問をしているのだが、
共著には、なっていない。

義によってカンパ、と思った。
(量ではなく質において宮崎学の 
 質問は鋭いと思った)


ソ連崩壊の道筋を解析する佐藤優の
手腕?能力にただ驚く。


予約して翌日には図書館から
入庫の連絡があったが、
不人気と言うより、
この本に描かれる民族紛争の混沌には、
なかなかついていけない。
(だから再び読んでいる)


いろいろと示唆に富む本だが、
ELM的にはこれほどまでに
佐藤優が求められる理由を考える。

おそらく「今」を解析する人が
求められているのだ。

歴史の解析ではなく、
この国の将来の舵取りは
どうなっているのか?

権力者は何をしようとしているのか?
この不透明で不分明で不可解で不合理な
世界の目指すところを知りたいから、
佐藤優を読むのだ。


某週刊誌は今週号で、いろいろな記事の
そこかしこに某政党のスタンプを押している。

佐藤優が、坑道のカナリアにならない事を、
祈る。


グーグル・アースでユーラシアを望見し、
気が遠くなった。

旧ソ連邦は、16ヵ国・・・。
posted by ELM at 21:08 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

07.07.17のBOOK ON:佐藤優にはまった!!

今日はもう、無茶苦茶に睡魔が襲ってきて、
歳を取ると肉体疲労の出が遅くなるけれど、
眠気までもが二日遅れか?

頭痛までしてきて、
これはもう脳梗塞の前期症状か、
と思いつつ、駅前の図書館へ行く。

佐藤優で検索すると、
一昨日探して見つからなかった本が
見つかる。

しかも、今度は地区内の他の図書館。
予約数20何て本もあり、
佐藤優、畏るべし。

しかし、図書館には結構な新刊もあるのね、
と見直し、結局、三冊取り寄せ予約する。

「T種メンマ(メンタルヘルス・マネジメント)検定」
の勉強をしなければいけないのに、
今、佐藤優の本はマイ・ブーム。

佐藤優は、教養人だと思う。
近頃では稀な、行動する教養人。

しかし、基盤に神学があり、
ないとは言うものの大きな、
硬質の自尊心があり、
ぶれない。

ユーモアでくるみながら、
これだけ理論武装している人を、
最近では知らない。


「主任分析官」ではあったが、
ELM的には「解析漢」と呼びたい。
posted by ELM at 20:51 | 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月12日

07.07.12のBOOK ON:佐藤優「国家の罠」

「獄中記」は、背景がイマイチわからなかったのだが、
佐藤優の筆力に圧倒され読み終わった。

ネットで検索して「国家の罠」を知る。

会社近くの図書館で検索したら在庫が
ないようなので、珍しく予約を申し込む。

担当者の馴染みの好青年は
「あっ、これ在庫ありますよ」
と探しに行く。

それ困る。
「T種メンマ(メンタルヘルス・マネジメント)検定」を
読み終わってから、と思っていたので。

好青年は明るく
「はい、この通り」てな感じで
持ってくる。

読みはじめたら、これが止まらない。
リーガル・サスペンスとしても、
監獄物としても、政治ミステリーとしても、
神学・哲学、インテリジェンス(諜報)本
としても面白い。

西村検察官とのやりとりは圧巻。

国益とは? 信義とは?
外交とは? エスピオナージュとは?

佐藤優自身は、高強度なアナリストであり、
言葉の真の意味でパトリオット(愛国者)だと思う。


何よりも、簡潔な被告人最終陳述を読むだけでも、
日本という国家が小泉という変人首相の舵取り
(エンジニアは他にいると思う)で、どう国策を転換
したかがわかる。

「鈴木宗男氏という政治家を断罪する中で、
 日本はハイエク型新自由主義と排外主義的な
 ナショナリズムへの転換を行っていったのです」

これで、今の状況が腑に落ちた。

教育も政治も経済も、すべての淵源が、
ここにある。

暗闘は、今も続いている。
読むべし。
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2007年07月05日

07.07.05のBOOK ON:佐藤優「獄中記」

分厚い「1種メンタルヘルス・マネジメント検定」を
読まなければならないのに、つい昨日、
もっと分厚い佐藤優の「獄中記」を手に取ってしまい、
気がつけばもう1/3を読み終わっている。

詳細は後日、書くかも知れないし、
書かないかも知れないが、
この本のドライでユーモラスな
文章力には驚嘆する。

拘置所に500日も拘留された人とは
思えない。

高強度なインテリジェンスを感じる。
posted by ELM at 20:50 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

07.06.02のBOOK ON:清/順/映/画

seijyun-eiga.jpg

仕事の事は、結果も予定も、
事細かくとは言わないが、
胸ポケットのメモ帳にメモする。

プライベートは、
恐ろしくアバウト。

だから、突然思い出しては、
突き進んでしまう。

(仕事もそうだろ! ってツッコミ
は、Do not please.)

先週の休みは「清/順/映/画」で、
2〜3週間くらい前の書評を思い出し、
開店を待って地元の本屋を探し回る。

ない。

ないのは我慢、できない。

えいや〜と横浜まで出かけたのに
ダイヤモンド地下街の「無隣堂」にも、ない。

近隣で、ここより大きいのは、
ザキの無隣堂。

でも、その時は思い出さず、
昼ご飯をダシに連れてきたbambiが、
joinus(ジョイナス)の詠唱堂を思い出す。

joinusのネーミングは公募で、
JOIN USのリエゾン。

何かのホラーで
「一緒に遊ぼうよ」と訳されていて、
感心した記憶が、ある。

それはともかく、
行ったら、
あったのです。

一冊。

でも、高いのです。

こういう手の本は、
逃すと次は手に入らないよ。

bambiが言います。
違う意味で珍しい本を集めている
彼女のご託宣は、絶対です。

買いました。


一読驚嘆・一気呵成・瞬時読了・天地争乱


自分の監督作品は忘れてしまう、
という清順師に対し、
インタビューア二人の食いつきが、
ドジで、マヌケで、鮮やか。

「清順さんをインタビューすると、
 インタビューする方が多く話して
 いるんですよね」(意訳)

なんて、まともな神経なら、言えない。

対して、師は、怒っているんだか、
はぐらかしているんだか、
まともな反応しているんだか、
わからない。


文字を読むよりも肉声で聴きたいと思った。
微妙なニュアンスを感じ取りたい。

それくらい、この本は、師の映画同様、
スリリングで、つい裏目読みしたくなり。


ELMのできなかった事を、
とりあえず成し遂げてくれて、
感/謝/労/作。


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2007年05月28日

07.05.28のBOOK ON:「下妻」越えなるか「変身」

hen-sin.jpg

ようやく、嶽本野ばらの「変身」です。

ある朝、売れない少女漫画家星沢皇児は、
自分が変身している事に気づきます。

整形医がさじを投げるようなご面相から、
超イケメンに、です。

理由も説明も、ありません。
それが野ばらです。

受け入れるしかないのです。
それが野ばらのファンです。

星沢が竹宮恵子や川久保玲にインスパイアされるように、
豊島園のエルドラド(メリー・ゴー・ラウンド)に
執着するように、一度はまってしまったら、
読者は野ばらワールドに存在するか存在しないかしか
ないのです。

星沢皇児は、どんでもない勘違い、
こだわり男です。

イケメンになっても、
実はもてません。

その辺の事情は原作を読んで
爆笑していただくとして、
ブラック風味で確信犯的に笑わせるように
描く野ばらは、もしかしてとんでもない作家です。

(だって、ものすごい自己省察?ですよ)

担当に付く敏腕編集者、河原木マドレーヌとの
やりとりでもその辺はわかりますが、
売れない時代のファン、ゲロ子(!?)に
戻っていくラストは、少ししみじみします。

「下妻」のヒステリックすれすれの
笑いに比べれば「変身」の笑いは
実は抑制が利いています。

「下妻」越えなんて考えてはいけないのですね。
「変身」は野ばらの成長の通過点です。

新作が出る度に、変奏しながら
螺旋状に高みをめざしています。

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2007年05月25日

07.05.25のBOOK ON:嶽本野ばら「変身」

hensin.jpg

書こうと思ったのですが、
週末のせいか脱力していて、
書く気はあるのですが、
各地から、違う! 書く力が
沸いて来ません。

あっ、2〜3日前の仕事の
後遺症ですね。

しばしお待ちを、2〜3日?

年々、疲れの出るのが
遅くなり、回復するのも
遅いです。

もう19歳、歳を取ったものです、
ELMの精神年齢。

posted by ELM at 21:00 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

07.05.17のBOOK ON:山崎努の「私の読書日記」

「週刊文春」の「私の読書日記」は、
五人の著名人が交代で書評を担当しています。

それぞれに良いのですが、
ELMは山崎努の回が一番好きです。

演技者として、いかに優れた
読解力の持ち主かが、
よくわかります。

顔のいかつさに似合わず、
演技がしなやかなので、
好きな役者さんの、ひとりです。

これは先週号ですが、
吉田十駕の「こぼれ放哉」を
取り上げて、こう書き出します。


演技する上で大切なのは、
危なっかしくやることである。

失敗を覚悟で、
どうなってしまうか
わからないところへ
自分を追い込んでいく。
それが大事。

失敗は正直怖いが、
そのリスクを背負わない
安全運転的演技など
なんの価値もない。

危険を避けるのではなく
安全を避けなければならない。

実を言うと、
演技には失敗も成功もない。

失敗だって成立する。

問題は、
どんなことにこだわり、
どれだけ自分を投げ出せたか、
ということなのだ。


他の人は知らないが、
今年、これほど震えた言葉を、
ELMは知らない。

どんな業界にいようとも、
自分の足下を掘っていけば、
たどりつく地下水系は、
たぶん、同じなのです。


昔、新横浜駅前ですれちがった時、
黙礼をしたら、黙礼が返って来た事を、
急に思い出しました。

posted by ELM at 20:55 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月16日

07.05.16のBOOK ON:中島らもの「君はフィクション」

kimi-fic.jpg

最近の物書きで、ちかいなぁ〜、
わかるな〜、にてるなぁ〜と思えたのは、
ひとりは色川武大。

「怪しい来客簿」は、
少しも怪しく思えなかった。

異形を生きる腹のくくり方は、
全然及ばないけれど、
何か、近いものを感じている内に、
東北へ転居した途端、逝去。


もう、ひとりは、中島らも。
単に敬弔景気とは思えない出版ラッシュの中で、
この本を見つけた。

ホラーあり、不条理あり、
中津川あり、戯曲あり、グログロありの
バラエティてんこ盛りなので、
らもの才能の高低、振れ幅の大きさが満載で、
あきない。

でも、蒙を啓くのは、
愛娘、中島さなえによる解説? 弔辞?

単行本で5頁の、その文章を、
何度も何度も読んで、10回近くは読んで、
そんな事は今まで一度もなかったのに、
さらに読んで、ELMの中でらもは成仏した。

ありがとう、らも。

掲載作の中では
「バッド・チューニング」が正統で、
異端で、らも的には破綻だね。
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2007年05月08日

07.05.08のBOOK ON:最悪の戦場に奇蹟はなかった

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「このゴロツキ部隊は・・・
 敵国地では老若男女の容赦なく、
 少しでもおかしい奴と思えば、
 日本的武士道の処置としてバッサリ、
 チョンぎってしまうのだ」

そう読んで、しばらく買うのを躊躇って
いたのですが買って、ようやく読み終わりました。

全編に漂うユーモアがたまりません。
生来のものでしょうか?
そこはかとなく、面白いのです。

酷い話はさらっと描かれます。
さらっと描かないと神経が持たない。
そんな気がします。

作者の、凄く細やかな神経を感じます。

人を殺した(殺さなければ生きられなかった)
人の豪快と繊細を感じます。

思えば戦記物は、読まないジャンルでした。

最悪のガタルカナルと最低のインパールを
転戦した兵士がいたとは、知りませんでした。

「兵隊やくざ」のように読むのは
いけないのですが、11対300の決闘に、
すべてが表れているように思います。

11人が300人の英兵を駆逐するのです。

戦争は嫌だと思いながら、
溜飲が下がります。

11人は、かつて敵兵から奪った
2丁の自動小銃で、
生き残るのです。

泣けます。
笑えます。

武器さえ最新式なら、
日本軍は勝利したのです。

もちろん、それが今の日本に良かったか
どうかは別問題です。


殺された命と殺した命は、
等価ではないのです、永久に。


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2007年05月02日

07.05.02のBOOK ON:日本の戦争力

j-war-power.jpg


昭和史を探訪して、
かたや「日本の戦争力」にたどりつき、
かたや「日本の失敗と成功」に行きつき、
明治から昭和を概観しています。

今夜は「日本の戦争力」です。

日米協定の片務性が、
よくわかります。

湾岸戦争で、日本の水雷掃海艦が活躍した訳が、
ようやくわかりました。

その分野では、トップクラスなのです。

つまり、総合力において、
日本の自衛隊は、他国を侵略するほどの
実力を「持たされていない」のです。


それはともかく、文中では触れていませんが、
表紙のイラストが、凄いです。
(薄くて見えないかも知れませんが)

地球逆様。
北極から見た日本です。

日本を狙うには、
朝鮮半島からか、
樺太(サハリン)からなのですが、
それが画として一目瞭然に
理解出来ます。


どの国が狙っているか、いたかはともかく、
日本は極東平和の橋頭堡、なのです。 


大正10年に、アメリカは対日戦を「考慮」しました。
今は日米安保条約を結んでいます。


今日の味方は明日の敵かも、
敵の敵は味方かも。

そのために準備しておく。

そう言う考え方、やり方は、
決して不純ではないと思います。

posted by ELM at 21:04 | ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月01日

07.05.01のBOOK ON:ララピポ

rara-pipo.jpg

伊良部シリーズの奥田英朗の本なので、
何も考えず手に取り、読みはじめたら、
結構エロい。

表紙を見返したら、
表紙画もよく見ると、
結構エロい。

対人恐怖症のフリーライター、杉山博(32歳)。
NO!と言えないカラオケBOX店員、青柳光一(26歳)。
AV・風俗専門のスカウトマン、栗野健治(23歳)。
文芸コンプレックスの官能小説家、西郷寺敬次郎(52歳)。
専業主婦にして一応AV女優、佐藤良枝(43歳)。
デブ専裏DVD女優のテープリライター、玉木小百合(28歳)。

時代を鋭く、エロく切り取って、
それぞれのエピソードが実は、
不幸せの黒い糸でつながっている。

つながっていて、黒い糸なのに、
哀しく笑えるところが、凄すぎる。

一番気に入ったのは、
やはりNO!と言えない青柳光一、でしょうか?

タイトルの意味が、最後の章で
明らかにされます。

つまり、ラストを決めて
創作したのです。

作家として不思議ではない営為ですが、
見事過ぎて、奥田英朗の巧みの奥深さが
わかります。

「ララピポ」に込められた、
奥田英朗の冷たさと愛情の深さが
知りたかったら、読む事ですね。


あっ「町長選挙」も、特に表題作が
面白いです。

伊良部を見切っている、
オジンたち、オバんたち、が良いですよ。
posted by ELM at 20:56 | 🌁 | Comment(0) | TrackBack(1) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月25日

07.04.25のBOOK ON:水に似た感情

water-feeling.jpg


中島らもは好きで、
よく読んでいるのに、
この作品の事を知らなかった。

この人は、長生きしないだろうな、と
期待するような、確信を抱かせるような、
人だった。

三島由紀夫も長生きしないと思っていたが、
実は、その死に衝撃を受けなかった。

世間の衝撃に、マスコミのあおりを感じた。
三島は、実は死ぬのを待たれていた、人。

中島らもは、少なくとも、
生きのびて、みっともなく生き続けて欲しかった、人。

この小説の不思議さは、
らもの生き方同様、虚実皮膜の薄い強固さ。

薄いから強固、というアンビバレンツ。


「たぶん今日もいろいろなアクシデントがあるだろう。
 しかし、ディレクターには“うろたえる権利”と
 いうものがない」

こんな帝王学を開示する、なんて、らも、らしく、ない。

しかし、次の文章でさらに、らも、の生真面目さが、わかる。

「長い間、モンクはオカルトを遠ざけていた。
 その水際まで行っても、オカルトの海の中に
 入る事は避けた。なぜならそれは底なしの海だからだ」

幾多の幻覚剤に手を出した、らも、の
この真摯な直観を、ELMは信じる。


カポーティの「オカルト」を、
買ったのにELMが読まなかったのは、
そのプロローグの最初の数行に、
それが真であり、それが宿痾になる人生が
ある事を、魂で直観したから。


「水に似た感情」を、
 さらさらと流れるような人生を、
 らも、は欲しかったのだろうな。

ELMのように。


posted by ELM at 21:14 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | site2:BOOK ON | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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